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34条12号と新築とリスクと築浅住宅の売却と残債と

後悔しない土地売買の方法



人は結婚し、家庭を築いて子供ができたところで、
注文住宅が欲しくなるものです。

少し広めな土地で家庭菜園をしたいと思えば、
土地面積は70坪以上欲しくなる。



建物価格を考えると、土地代金は抑えたい。
そこで候補に挙がるのが「34条12号」の土地です。



東松山の"12号"というのは、簡単に言えば
「その地域(市街化調整区域)周辺に血縁がある方が、
例外的に許可を得て建築する」という話です。


//matsubori-consul.jp/2021/02/%E3%80%8C34%E6%9D%A112%E5%8F%B7%E5%8C%BA%E5%9F%9F%E3%80%8D%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6/



少し条文を取り出してみましょう。


(法第34条第12号の規定により定める開発行為)

第4条 法第34条第12号の規定により、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として定めるものは、次の各号に掲げるものとする。

(1) 東松山市総合計画審議会条例(昭和41年東松山市条例第6号)第3条第1号に規定する総合計画に基づき市が策定した土地利用に関する計画に即して市長が予定建築物の用途を限り指定した土地の区域において、当該指定に適合した建築物を建築する目的で行う開発行為

(2) 自己の居住の用に供する建築物を建築する目的で行う開発行為で次のいずれかに該当するもの

ア おおむね50以上の建築物(市街化区域に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、市長が指定した土地の区域(以下「既存の集落」という。)に、区域区分に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更して市街化調整区域が拡張された日(以下「区域区分日」という。)前から自己又はその親族が所有する土地において行うもの

イ 本市又は本市に隣接する市町村の市街化調整区域に20年以上居住する親族を有する者が、既存の集落に自己又は自己の親族が所有する土地において行うもの

ウ 本市又は本市に隣接する市町村の市街化調整区域に区域区分日前から居住する親族を有する者が、区域区分日前から自己又は自己の親族が所有する土地において行うもの

~~以下省略~~~


ここで大切なのは太線部分、
「自己の居住の用に供する建築物」ということです。



つまり、12号で建てたお家というのは
「あなたが住むため」に許可を得た建築物です。



建てたからには、あなたが住まなければなりません。
あなた以外が住めば、それは都市計画法違反です。




とある市町村のホームページには、
こんな記載があります。



ちょっと文字が小さいですが、まさにこの通り。


「許可を受けた建築物は、
許可を受けた目的(用途)以外の目的で使用すると、
都市計画法違反になることがあります」



というわけです。
ちなみに法第81条の「罰則」とはこちら。

法第91条 第81条第1項の規定による国土交通大臣、都道府県知事又は市長の命令に違反した者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。


懲役とは穏やかではありませんね。


現実問題、自己居住の用途違反を理由として、
都市計画法違反が立件されているかというと、
正直ほとんどないと思います。



とはいえ、法律は法律です。従う必要があります。




さて、あなたは35年ローンを組み、
巨額の借金を負って12号の土地に立派なお家を建てました。



そのままずっと住んで一生懸命働き、
住宅ローンを払い続けていれば、
それは当初抱いた理想の生活像です。



ところが人生、そう簡単に上手く行きません。


わかりやすいのは転勤
急に関西へ異動を命じられたら?


拒否しようとしてもできない。
一家で関西へ転勤する羽目になり、
転勤先の賃貸住宅と今のお家で、家賃の二重払い。



あるいは残業の減少や奥様の産休など、
毎月の収入が減少した場合。
ハウスメーカーの言うままにローンを組んで、
返済比率が収入の30%近くあると、
収入減に耐えられないケースがよくあります。



もちろん転職による収入減もメジャーな理由です。
営業職だったが心を病んでしまったり、
怪我によって肉体労働ができなくなったり。
職種を変えても、職場を変えても、
収入が減ることはよくあります。



一番よくあるのは離婚です。



建築してみたはいいものの、
お子様や金銭、異性関係等を理由に夫婦関係が悪化。
ほとんどの理由は結果として「性格の不一致」
20~30代の夫婦が新築後、
2~3年以内に離婚する例は本当に多いです。


奥様の収入を頼りにローン借入していたら最悪。
場合によっては、養育費も発生しますから、
一転して生活が苦しくなります。




ゼロ金利以降、住宅ローンは非常に審査が緩くなりました。
現状の年収に対して、
その9倍くらいまでは容易に貸してくれます。


自己資金なんて、
正直10万円あれば大丈夫だったりします。
諸費用はほとんど全て、住宅ローンに組み込めます。

で、なんとなく皆様ご存じの通り、
新築したお家は、
すぐ売ろうとしても安くなります。

土地から新築して計3,500万円かかったとします。
その物件をすぐ売ろうとしたら、
だいたい2,500~3,000万円くらいです。



お家はあくまで「他人のために設計したお家」。
一度住んだお家は「中古住宅」。
新築時の10年保証等は新しい買主に承継できない。



新築にかけたお金は、
あなたのために作った分が付加価値として乗った価格です。
第三者が買おうとする価格ではない、ということです。




さて、以上のように、
貯金の無い状態で土地から新築した方は、
会計上、どのような財政状態なのか。
貸借対照表は以下のようになります。


<資産> 土地建物 時価2500~3000万円
     現金   ほとんど無し

<負債> 借入金  3500万円



ということで、会社なら債務超過です。
倒産の危機ですね。


倒産する直前の会社を、毎年の収入で必死に補って
なんとか存続し続ける社長。


そんなイメージです。



昔の人は「自己資金2~3割入れるもの」みたいな
感覚がありますが、実際正しいのです。
自己資金を2~3割入れて、
やっと資産と負債がトントンになります。




さて、以上は「普通の新築住宅」の話。


12号建築物の場合はもっと厄介です。


なにしろ12号建築物は
「あなたの居住目的」で建築したもの。



無許可で他の人に住まわせたら法律違反です。



当然の帰結として、
12号で許可を得た新築住宅は、
売ろうと思っても売れません。




正確に言います。
都市計画法は、所有権移転を禁じていません。
そのため、12号建築物であっても、
他人に売ることはできます。



ただし、
12号新築住宅を買った人が、
そこに住めば都市計画法違反です。



あるいは、12号建築物を、
許可なく他人に貸し出しても違反になります。




仮に、まったく東松山に血縁も地縁も無い人が、
12号建築の築浅住宅を購入したとします。


都市計画法の許可を得ず、勝手に住んだとします。
現実問題、だからといって
市役所から違反を指摘されることは、あまりないでしょう。



ではそのお家が1年後に燃えてしまったら?
買った人は建て替えできるでしょうか。


これはNGです。
法律上「その人のための家ではない」からです。



「その人が許可を取った家ではない」限り、
少なくとも東松山市の場合、建て替え許可を出さないそうです。



実際、それは当たり前の話です。
そもそも市街化調整区域は市街化を抑制する区域です。
そこに、名義貸しして12号建築物を建てて、
即転売するようなことを許していれば、
市街化調整区域に住宅が沢山増えてしまいます。
法律の趣旨に反します。許さないのが当然といえます。



結果、焼け跡には、家を建てられない土地が残ります。
土地を売って、他所に移るしかありません。




もうひとつ、買主にとっては資金調達の問題があります。
「都市計画法違反」であり「建て替えできない」お家だった場合、
金融機関は住宅ローン融資をしてくれるでしょうか?



ほとんどの都市銀行はアウトです。
地方銀行では、保証会社によっては、
表面上OKとの見解もありましたが、
契約書等の書面に
「買主の再建築は不可」「都市計画法違反」等の
文言があればNGになる、とのことでした。


再建築不可等の文言を契約書類から削除して、
金融機関に黙って融資を通すこともできるかもしれません。


しかし、後に建て替えトラブルが起きて
金融機関に隠ぺいがバレれば、
これは不正融資の問題になります。
隠ぺいに協力した不動産会社も
責任追及されるかもしれませんね。



現金購入の買主なら、
都市計画法違反を承知の上で購入することもできますが、
東松山では2000万円以上の住宅購入者は、
8割以上が住宅ローン利用者だと思います。



そのため購入客は著しく少なくなります。
かなり値下げしないと売れないかもしれません。




厳しい話をしました。

とはいえ現実的に、転勤などで家を手放さざるを得ないこともあります。
そのため、東松山市の場合(おそらく他の市町村でも)、
いちおう救済措置があります。



ざっくり言えば、

「12号建築物は、
同じ12号対象者が居住することは許します」


つまり、買主が12号対象者ならOKです。



より正確に言います。
「Aさん(12号対象者)のための家」から
「Bさん(12号対象者)のための家」という風に、
用途変更の許可を得て、開発登録簿の名義を書き換えます。



用途変更すれば都市計画法違反ではなくなりますから、
当然、通常の住宅ローンも利用できます。
許可を得たうえで、通常の売買が可能になります。




とはいえ、そもそも12号対象者は、
市街化調整区域の数多くの土地を選ぶ権利があります。
また、自分のための注文住宅を希望する人が多いです。



そんな中、他人のために設計された、
高額な築浅住宅に手を出す人は少ないです。
やはり割安感を出すため、
価格を下げないといけなくなります。





こういった12号築浅住宅は、
自己資金を入れずに35年ローンで購入している方が殆ど。



築2~3年で売りたいと思っても、
残債はほとんど減っていません。
そもそも残債以上で売れないと、住宅ローンが消せないのです。



先ほど述べたように、
基本的に、土地から新築した住宅は「債務超過」です。
売ったらマイナスになります。
残債より高値で売れない以上、そもそも売却自体が難しい。



それでも毎月の返済は発生し続けます。これは正式な借金です。
残債を返さない限り逃れられません。



事例としてよくあるのは以下のようなケース。



「子供ができて賃貸住宅が手狭になり、
家賃を払うのが勿体ないと思って住宅新築した。
住宅ローンは全て夫名義。
2~3年後、不仲になって離婚。
子供は母親側に行き、夫は養育費を払うことになった。
もう住みたくない or 支払いが難しくなったので売りたい」



というパターン。年に2,3回は相談を受けます。



これ、基本的には無理です。



協議離婚の話し合いの結果、
高額な養育費を払わされているケースが多いのですが、
そもそも住宅ローンすら無理やりオーバーローンで組んでいて、
奥様の給料も当てにできない状態。さらに養育費の支払い。
コロナの影響で残業代が無くなったりすると、ほぼアウトです。



今まで述べたように、12号建築物でもそうでなくても、
新築住宅の建築費用には付加価値分が乗せてあり、
売却時は購入総額の70~80%くらいの価格です。
残債よりショートしますので、借金を返せません。


住宅ローンは、土地建物を担保(借金のカタ)にとった融資です。
全額返済しない限り、ご自宅は借金のカタにとられたまま。
つまり売れない、ということです。



住宅ローンというのはただの借金ですから、
借金が支払えず、返す当てもない状態になれば、
選択肢としては自己破産を視野に入れることになります。



軽い気持ちで住宅ローンを組んだのだけど、
一歩先には自己破産が待っている、というわけです。



弁護士の自己破産案件の10%くらいは住宅ローン絡みなのだそう。



曰く「住宅ローンは生活環境の変化にとても弱い」そうです。
そりゃそうです。
そこに35年住み続け、返済し続けることが可能なら
トータルで得するかも、というのが住宅ローンです。
転職・転勤・離婚。生活の根拠地が変われば容易にマイナスに転じます。



市街地の土地をよほど割安で買えた、とか、
値上がり確実な都内の土地を買った、とかならわかります。
もしかすると将来、高値で転売できるかもしれません。



いっぽう12号の土地は、嫌な言い方をすれば
田舎の畑に無理やり家を建てました ということです。
人口減少社会の昨今、
購入総額より高く売れる見込なんて無いのです。



本来、土地を買う段階で、
不動産業者やハウスメーカーから
「転売するのは難しいです」
「絶対に離婚しないでくださいね」
などと案内しておくべきなのだと思います。


とはいえ購入時は、水を差すようなことを言いたくないので、
ほとんどの営業さんは、こんなところまでご説明しません。



ましてや市街化調整区域に詳しくない不動産屋に相談すると、
何も知らずに高値で物件販売していたりします。



結果、売れないまま住宅ローンを支払い続け
苦しい生活を1,2年続けてから相談が来ることもあります。




このようなケース、
信用情報を傷つけるか否かによって方針が変わりますが、
第三者からすると、
自己破産してしまうのが一番楽だと思うことも多いです。




少し話はそれますが、
多重債務者の築浅物件を任意売却しようとして、
カードローン債権者の督促を無視し続けた結果、
半年後、契約前に不動産を差し押さえられて売却できず、
最終的に自宅は競売となり本人は自己破産、
という事例を聞いたことがあります。
5,6年前の東松山市の話です。



下手な不動産業者を信頼した結果の失敗例です。
任意売却は、大手企業が手を出しにくいこともあり、
零細業者・個人業者に依頼される方がけっこういます。

まともなプロに当たれば良いのですが、
弁護士の紹介もせず、多重債務者の不動産をいじって
「売ったら終了」「売れなかったら知らんぷり」
というのでは下手っぴもいいところです。


ちなみに、契約が破談したあと、
その担当とは連絡がつながらなくなったそうです。


※プロフィールには「得意分野:任意売却」と書いてあったそうな。
恐ろしい話ですね。



これなんかは、弁護士に依頼すれば、
ストレスも時間の無駄もなく自己破産して終了した案件です。
半年近く督促を無視し続けるストレスも相当だったでしょう。

ただでさえ離婚で精神的に辛いのに、
返済苦や督促苦に直面させ、
精神的苦痛を与え続けたのは不動産業者だった、というわけです。




話をまとめましょう。

12号建築は"安くて広い家が建てられる"ということで、
なんとなく お得 というイメージが先行します。
一方で「12号で家を建てることのリスク」は知られていません。



住宅ローンの債務者となる方は、
心のどこかで「俺、本当に35年ここで住めるのかな」
冷静に考える心を持って頂きたいです。



換言すると、それは


「この配偶者と、本当に、絶対に35年一緒に生きていけるか」


という問いでもあります。
この確信を持てないなら、
12号で土地から新築するのはお薦めしません。


ある程度子育てが進んで、夫婦関係が落ち着くまでは
賃貸に住むか、そこそこ築古な中古戸建やマンションを
購入してもらう方が安心です。



人生何があるかわかりません。
気に留めておいていただけると幸いです。


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