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「34条12号区域」について

後悔しない土地売買の方法

東松山市で土地をお探しの方にとって、わかりにくいのが「34条12号区域」という表記です。駅前というよりは郊外にあって、なんとなく広くて単価が安い土地・・・いいな、と思って問い合わせしてみると、いろいろ説明された挙句『お客様の場合はこちらで住宅を建築することはできません』と言われてしまう。

今回はそんな「34条12号区域」について、東松山市の事情を踏まえつつ解説します。

「34条12号」と一口に言いますが、~~条~~号と書いてある通り、法律で定められた条項のことを指しています。まず最初に、土地や建物について大まかに制限を定めた法律があり、その法律を「都市計画法」といいます。

その都市計画法第34条には以下のように記されています。

第三十四条 ~~略~~ 市街化調整区域に係る開発行為(主として第二種特定工作物の建設の用に供する目的で行う開発行為を除く。)については、~~略~~ 当該申請に係る開発行為が次の各号のいずれかに該当すると認める場合でなければ、都道府県知事は、開発許可をしてはならない。

この条文では、市街化調整区域における開発行為(土地を割ったり造成したり建築する行為)に制限をかけています。「市街化調整区域」というのは、「原則的に建築などの開発行為ができない区域」のことで、これも都市計画法によって定められ、埼玉県が「この範囲は市街化調整区域です」と指定しています。

市町村は、市全体を「市街化区域」と「市街化調整区域」に分けています。「市街化区域」は”市街化”する区域ですから、建物を建てて欲しい場所です。一方、市街化を”調整(抑制)”する市街化調整区域は、市町村としては、建物を建築したり居住してほしくない場所になります。

この区域分けは、インターネットで検索だけでは簡単にわからないことがあります。東京都内や神奈川県、さいたま市などはインターネットでも調べられますが、郊外の市町村ではネット検索システムが整備されておりません。そのため、「都市計画図」という図面を市役所や図書館などで閲覧したり、電話で問い合わせることで、物件がどの区域に属するのか教えてもらえます。

以下、都市計画法第34条では、第1号から第14号まで、それぞれ市街化調整区域で例外的に建築を許可する要件を並べています。

その中の12号、つまり都市計画法第34条12号では、以下のように記されています。

十二 開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、政令で定める基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの

つまり、「政令」で定めた基準があり、都道府県が「区域」「目的・用途」を定めたものなら例外的に許可を出す、という内容です。

それでは、「政令」とは何のことでしょうか。東松山市の場合、この開発許可の事務を埼玉県から移譲されているため、東松山市の「東松山市都市計画法に基づく開発許可等の基準に関する条例」が「政令」に準ずるものになります。非常に長いので抜粋します。

第4条 法第34条第12号の規定により、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として定めるものは、次の各号に掲げるものとする。~~略~~

(1) ~~略~~

(2) 自己の居住の用に供する建築物を建築する目的で行う開発行為で次のいずれかに該当するもの

ア おおむね50以上の建築物(市街化区域に存するものを含む。)が連たんしている地域のうち、市長が指定した土地の区域(以下「既存の集落」という。)に、区域区分に関する都市計画が決定され、又は当該都市計画を変更して市街化調整区域が拡張された日(以下「区域区分日」という。)前から自己又はその親族が所有する土地において行うもの

イ 本市又は本市に隣接する市町村の市街化調整区域に20年以上居住する親族を有する者が、既存の集落に自己又は自己の親族が所有する土地において行うもの

ウ 本市又は本市に隣接する市町村の市街化調整区域に区域区分日前から居住する親族を有する者が、区域区分日前から自己又は自己の親族が所有する土地において行うもの

~~略~~

ここでやっと、条件が出てきました。まず前提として、「自己の居住の用に供する建築物」つまり「建築主の自己用住宅」のみが建築対象になります。集合住宅や、専用事務所などは建築不可です。そのうえで、

A本市又は本市に隣接する市町村の市街化調整区域B 20年以上居住する親族を有する者が、C既存の集落にD自己又は自己の親族が所有する土地において行うもの

対象地がこの条件を満たす区域が「34条12号区域」の正体になります。建築主と対象地が、上記の要件を満たす場合は専用住宅の建築が可能になります。

以下、かみ砕いて解説します。

A:東松山市 または 滑川町 / 嵐山町 / 鳩山町 / 坂戸市 / 川島町 / 吉見町 / 熊谷市
の市街化調整区域に、
B:20年以上居住する親族
20年以上、ご親族がお住まいになっていること。
親族というのは、民法上の親族ですので、正確には血族6親等以内、姻族(配偶者の血族)3親等以内 のことを指します。
C:既存の集落
建築する場所は「既存の集落」内である必要があります。これは東松山市の「条例」に定めがあります。

2 市長は、第2条第1項第1号及び第4号の基準に基づき、既存の集落を指定する

ということで、東松山市が指定してある「既存集落」という区域である必要があります。この「既存集落」について、インターネットで調べてもわかりません。市役所の都市計画課で調べてもらいます。
住宅地図などを持って市役所に行き、都市計画課で「34条12号の対象区域ですか?」と尋ねれば教えてくれます。

以上のように条文・条例で定めてあることを一言でまとめますと、

「東松山もしくは隣接する市町村の市街化調整区域に、親族が20年以上居住している方が、既存集落において自己用住宅を建築する行為」は「許可を得られれば可能」

ということになります。

実際には、許可を得る条件として「建築主は他の市街化区域に代わりとなる土地を所有していないか」「建築計画は図面ができているか」「建築する資金計画は大丈夫か」「対象地が農地であれば、農地法上の条件は満たせるか」等、いくつか条件が付されますので、全て満たして初めて、34条12号区域での住宅建築は可能になるのです。
あくまで、例外的に建築を許可する、というイメージです。

このように、郊外の住宅建築に厳しい制限を付けているのには、もちろん理由があります。

そもそも市街化調整区域とは、原則的に家を建てられない場所です。
行政としては、東松山市内全域にまばらに家を建築されてしまうと、インフラ設備の投資・維持管理コストが莫大になってしまいます。市の財源にも限りがありますし、なるべく駅前や市役所近く、発展すべき場所に人を集中して集め、郊外には移住してほしくない。

しかし、一方では農家の方や、郊外で事業を長年営んできた方々にとっては、親族の家が近くに欲しいのも事実です。そこで、「郊外に血縁がある方々であれば必然性がある」と考え、例外的に住宅を建築することを許されているのです。

※ここでは「東松山市の条例で定められた34条12号区域」の話をしています。つまり、東松山市以外では、34条12号区域の運用が異なりますのでご注意下さい。

最後に、東松山市は現在、立地適正化計画の中で「コンパクトシティ化」を目指しており、駅から徒歩20分圏内程度の、利便性の高い地域に人を集中させたい方針のもと、まちづくりを推進しています。

そのため、市街化調整区域で建築する要件については、今後変更があるかもしれません。実際、別の項で述べる「都市計画法第34条11号の縮小」という施策については、令和5年度からの運用開始を目指して動いているところです。

いま自由に建築できる場所が、将来でも自由に建築できるとは限りませんので、必要に応じて、その都度調べてみることが大切です。

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