東松山市の地価動向
今回は、昨今の地価動向について、東松山市を中心に考えてみます。
適当に拾ってきたデータですが、
東松山市の公示地価平均データが以下の青部分になります。
一般的にどこの土地も同じですが、
地価のピークは平成6年頃。バブルの真っ盛り~終焉期のあたりです。
その後、平成まではほぼ一貫して地価低下し、
バブル期との比較だと、地価は3分の1~4分の1くらいになっています。
以下は東松山の地価公示地では一番良い土地。
平成3年では坪274万円という冗談みたいな価額です。
現在は坪54万円なのだそうで、5分の1になってしまいました。
実は、不動産価格に対して、
明確に相関関係がある数字、というものはありません。
日本経済の動向、金利、GDP、米国住宅指数などなど、
色々関連性のある数字はありそうですが、決め手にはなりません、
一部研究によると、人口と不動産価格の間には、
それなりの相関関係があるようです。
それも、総人口ではなく生産年齢人口です。
生産年齢人口とは、土地・住宅を購入するメインの年齢層で、
15歳~64歳の人口を指します。
東松山市人口ビジョンでは、東松山市の将来人口予測を行っています。
オレンジ色が生産年齢人口の部分。
もうずっと前から減少しており、さらに少なくなっていく見込です。
生産年齢人口とは働く世代で、
要するに不動産が欲しい世代のメインですから、
購買層の減少 = 需要数の減少 ⇒ 競争の減少 ⇒ 価格の低下
という理屈で、中長期的に地価が低下していくのは必然とも思えます。
ちなみに、どこの市町村も、郊外では同じような形になります。
東松山市が特別なわけではありません。
私の感覚でお話しますが、ここ2~3年で、
東京23区は地価が5~15%上昇、
23区外・川崎・横浜あたりで5~10%上昇。
浦和・大宮が2~10%上昇。
川越あたりで0~5%上昇。といったイメージでしょうか。
東京中心の港区・千代田区・中央区あたりを中心に
急激な地価高騰があり、東京都心部を高騰の中心地として、
東京縁辺の人口拡大都市まで地価上昇が波及していくイメージです。
そこから離れて郊外部へ移ると、
ここ1~2年はわずかな地価上昇は見られる場合もありますが、
ロングスパンの傾向では生産年齢人口の減少・都心への人口流出が目につき、
おおよその郊外都市では地価が低下し続けています。
さて、みずほ総合研究所の報告によれば、
コロナウィルスにおける日本の経済損失は約30兆円、
予測のGDP比で約5.7%マイナスとの予測です。
リーマンショックの際、GDPは7.0%マイナスでしたので、
予測ベースではリーマンショック程の打撃は無いかもしれません。
しかし令和3年に入って再び緊急事態宣言が発令され、
コロナの影響が長引けば長引くほど、景気を悪化させる可能性は高いです。
先ほどの地価動向を見ればわかる通り、
日本経済全体が大きな打撃を受ければ、
結果的に地価は低下するものと考えられます。
総合的に考えると、東松山市の地価が好転する要素は、
あまり見つけられない現状です。
人口はここから減少していき、東京オリンピックが開催されたとしても、
そこが景気の折り返しとなり、地価も少しずつ低下していく、
というのがおおよその見込です。
もちろん、私たち不動産業者としては、
地価が上がることを待ち望んでいるのですが、
まったく楽観視できる状況ではありません。
バブル期前後の地価高騰を、
実際にその目でご覧になっている地主の方からすると、
現在の土地価格水準にご納得できないのは、
痛いほどよくわかります。本当に皆様おっしゃいます。
しかし一方、今の世代の方は、バブル当時の地価高騰を知らないため、
「売ったら損する」という感覚がありません。
むしろ、人口減少が目につき、東京への移住を志向しがちです。
空き地であれば、草木の管理も困ります。
そのため、相続が発生してお子様に権利が移った途端、
売れる土地はすぐに売却してしまうことが多いです。
また、不動産は分割しづらい資産のため、
相続時の遺産分割で揉めやすい資産でもあります。
特に相続の場面で大切なのは、家全体として、
資産をどのような形で次世代へ受け継いでいくか、ということです。
必要な土地はどこなのか、不要な土地はあるのか。
揉めやすい資産はあるか。揉めるなら生前に対策しておくべきか、
そもそも相続不動産であれば、その時価評価をどう考えるか。
実家は誰が継ぐのか、誰も継がないのか。
本来であれば、一度ぜんぶ洗い出して、
お子様を含めた話し合いを済ませておくのがベストです。
それが難しいのであれば、親の代で自ら資産評価を行い、
方針を固め、対策を行ったうえで遺言書に残しておく必要があります。
最近は終活が流行っていて、
親世代でも一定の危機感を持って頂けるのですが、
昔からの名家と呼ばれる農家地主のなかには
「土地さえあればよい」という決め込みがあり、
次世代の負担を思いやれない方も多いです。
子世代からの相談は多いのですが、親世代が頑なですと
我々第三者からはどうしようもありません。
なんとか、親子で話をしてもらえるとよいのですが。
※※その後・・・※※
令和6年現在、テーマは「二極化」です。
都内の地価高騰は続いています。建築単価は下がることなく、
マンションの価格は東松山でも上昇してきました。
一方、地方都市は都内のように所得の上昇がありませんので、
「買える限界」があります。
結局、東松山全体では大した値上がりもなく上がり止まり。
むしろ建築単価が高くなったせいで土地が売れず、
物件が余って、若干取引価格が下がっています。
所得の上昇があり外国人買いも狙える、
都内や地方大都市の不動産価格は、まだまだ上昇。
確か銀座の地価はバブルを超えたのではなかったでしたっけ。
若い世代の"地方離れ"は顕著になってきており、
東松山でも市街地はまだ良い方なのですが、
駅20分を超えた地域や調整区域の宅地などは、
"タダでも要らない"土地が増えてきています。
特に市街化調整区域の農地は、11号区域が終わって
「何もできず、手放すこともできない土地」でしかありません。
次世代への課題は山積みです・・・