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本当は少ない未公開物件

後悔しない土地売買の方法

よく不動産会社のホームページに


【未公開物件多数、会員登録してください】


などと書いてあります。


公開物件情報300件、未公開物件100件!みたいな感じ。

未公開物件100件はすごいですね。
インターネットに掲載されていない、とっておきの物件がありそうです。


会員登録しなきゃ・・・と思えば、不動産会社の思う壺。


会員登録するために一通り個人情報を入力すると、
当然ながら不動産会社の顧客リストに加えられるわけで、
不要な物件情報が一斉メールで飛んできたり、
電話で営業をかけられたりします。

もちろん、本気で物件を探している方なら、
一斉メールでも何でもいいから情報を送って欲しいでしょう。


問題は『未公開物件』の方です。


通常、不動産を売りたい人は、
不動産会社に相談して査定などしてもらい、
金額を決めて売りに出します。


不動産を一般販売する場合、
売主は不動産会社と販売をお願いする契約を結びます。
これを媒介契約といいまして、売主の意向によって3種類から選べます。


一般媒介・専任媒介・専属専任媒介、
という類型があり、それぞれ特色が違います。


このあたりの説明は今回省きますが、
どの形にしても、

売主は『売って欲しい』からお願いするのです。

『頑張って売ってくれよ』と思っています。
『なるべく高く売って欲しい』とも思っているでしょう。


そうすると、
売って欲しい物件を未公開にして売るのは

背任行為ではないでしょうか。


物件を高く売りたい場合、
なるべく多くの人に情報を見てもらうのが基本です。
ある人には1000万円の物件が、
どうしても欲しい人には1500万円だったりもするのです。
情報はなるべく拡散させた方がいいわけです。
非公開にするのは、売主にとってデメリットしかありません。



さて、売物件の情報を不動産会社が秘匿して、
内々で処理してしまう行為を「囲い込み」と呼びます。


数年前、某超大手不動産会社が、
恒常的に囲い込みをしており問題になりました。

不動産会社が「この物件ありますか?」と問い合わせたところ
「ありません」と言われたのに、
一方で一般人を装って「この物件ありますか?」と聞いたら
「あります」と言われたそうです。


売主の意に反して囲い込み行為するのに、
不動産会社は何か良いことあるのでしょうか。

もちろんあります。
1つの不動産会社が買主・売主両方を直接くっつければ、
両者から手数料をもらえますので、2倍儲かります
だから、他の不動産会社に対して情報を隠し、
自分の会社へ、直接に問い合わせをもらいたいのです。


都内の不動産であれば、1取引で手数料100~200万円などザラです。
売主・買主の両方からもらえれば、倍の200~400万円。
これはおいしいですね。


不動産会社も少ない労力で最大利益を上げたいので、
情報を秘匿しがちです。

5億を超える高額不動産や、

法人が絡んだ規模の大きい収益物件になると、
もはや情報は水面下を流れています。
業者同士の知り合いやコネだけで流通していたり、

売主がお願いしている不動産会社から
2社、3社をまたいで「これ本当に売り物なの?」

というような怪しい情報が、裏側では行き来しています。


物件の価格が高いと手数料も高額になります。
そのため、買主から頂戴する手数料を
複数業者で分け合うような行為も見られます。
買い分かれだとか、アンコとか言われる行為です。


これが、ひとつの物件にむらがる

不動産業者達(あるいはブローカー)の構図です。



地方の物件はどうでしょう。

地方の場合は都内よりも物件価格が低く、
それに応じて手数料も安くなります。

とはいえ1物件ごとに手間はかかりますから、
なるべく手数料を多くとりたいのはどの会社も一緒。
やはり囲い込みは発生します。


地方の場合、
「自社のホームページだけ掲載されている物件」

というのがあります。

売主との間で専任媒介契約を結んだら、
不動産業者間で情報を公開しなければならないのですが、
不動産業者に情報を渡さず、情報の流通を制限して
直接問い合わせを狙う手法です。


地方は業者同士の付き合いも深く、
ローカルルール的なものもあるのでしょうけど、
さすがに堂々とやりすぎでは(汗
と思うケースを見かけます。



以上のように

未公開物件は売主のためにならない」というのが原則。


普通に売り出せばいいのです。


普通に売却を頼まれた物件を
未公開にして表に出さないまま放置していたら、
売主は怒りますよね。

不動産会社にとってもクレームになる恐れがあります。


ということで、未公開物件なんて実際は少ないのです。

現実には、一般に流通している物件を「未公開物件」と冠して登録し、
会員登録を誘引している会社が多いと思います。


ただし、買主にとっては会員登録しておくと良いこともあります。
先ほど述べたように、不動産会社はできるだけ
売主も買主も、自分の会社で見つけたいのです。

そのため、


・売物件が出たら、まず最初に自分の会社のお客様に紹介する


という行動をとります。私もそうします。

物件を流通させる前に、
会員登録した方へ一斉メールを送ったりします。

なので、本気で探している人はとりあえず会員登録しておくと、
ごく稀に良い巡り合わせが生じます。
たまに、このパターンで取引させて頂くことがあります。



では弊社に未公開物件は無いのか?

というとそんなこともなく、
いくつか未公開で物件を処理したことがあります。

これは囲い込みしているわけではなく、
単純に売主からお願いされて未公開にしているものです。


・住んでる家を売りたいが近所に秘密にしてほしい
・大地主だから、お金に困ってると思われたくない
・懇意にしている不動産会社があるが信用できない
・商売をやっており、関係者に売却を知られたくない


などなど事情があって未公開にしています。

地元で名の知られている方は、
秘密の売却をお願いされることが多いですね。



世の中には「お得な未公開物件」があるのかもしれず、
そういうものを追い求めるセミプロの方もいらっしゃいます。

しかし、幾つか不動産専門職を経験した身からすると、
そういう「おいしい話」みたいなものは一般に流れてきません。


買主としての希望を、不動産会社へ伝えるのはよいことです。
物件が出たら、すぐ情報を知らせてくれるかもしれません。

・こういう物件があったらすぐ買いたいんです
・これくらいまで金額を出せます
・ローン購入だったら事前審査も一度通っています


こんな感じで「あとは買うだけ」という状態になると、
営業さんは率先して情報を流してくれます。


逆に、定まっていないことが多いと、
営業さんから後回しにされてしまうでしょう。
リアルな話、営業さんも数字に追われていますから、
確度の高いお客様に集中する傾向があります。


また土地情報はハウスメーカーに集まっていたりするので、
ハウスメーカーの営業から土地を紹介してもらうのもよいです。

とにかく買主は「ちょうど需要を満たすものが1つあればよい」わけで、
それを見つけるためにどれだけ情報収集できるか、という勝負です。


結論、

「未公開物件があるかはわからないけど会員登録はしておいたほうがいい」

という話でした。



※※余談※※

地方の分譲業者は、土地を買い取って自社で区割り販売しています。

他の不動産業者と付き合うのも面倒なので、

自社のみで販売しているケースがあります。

これも未公開にされていれば、まともな未公開物件でしょう。

不動産業者自らが売主になる物件なら、

未公開にしても不都合ありません。

ですが、業者の買取再販なんて早く売りさばきたいわけで、

未公開にする理由がありません。

ほんと、未公開物件って何なんでしょうね?

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