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山林って価値あるの?

売却のあれこれ



昔、自動車工場で働いていた頃、
同僚の従業員に言われたことがあります。


「俺、山持ってるんだよね」




山持ってんの!?すげぇ! となりましたが、
実際のところ、山を持っていても何もできません。



温泉でも出れば話は別でしょう。
しかし、誰が温泉を掘ってくれるのでしょうか?



辺り一帯を切り開いてゴルフ場になったらどうでしょう。
しかし、日本の国土の67%が山林だというのに、
ピンポイントにご所有地で
ゴルフ場を新規オープンしてくれる確率は、どれくらいでしょうか。



道(道路・通路)に接していない山林の場合、
立ち入るには他人の土地を通らないといけませんし、
そもそも市街化調整区域(要するに郊外)の山林は、原則的に建築不可です。
何も建てられないのです。



建てられない・使えない・樹木だらけ。
隣地との境目もよくわかりません。
そんな山林を何千坪と所有している方がいます。




昔からの地主家系の方は、
実家と地続きで、裏側の山を持っていることがあります。



あるいは分家相続の果てに、どうしてかわからないが、
あの山の一部だけ持ってるんだよねー、という人もいらっしゃいます。



ご自身にとって使い道が無い不動産は、他人にも使い道が無いものです。
仮に売りに出したところで、0円でも買ってくれない。
誰が引き取ってくれるわけでもないが、相続放棄できるものでもありません。
そうして代々引き継がれていく・・・いわゆる"負"動産というやつです。





さて、建築不可の市場価値とは何でしょうか。


価値の変動要因は土地そのものだけではありません。
周囲の状況によって、その価値は大きく変わります。



まず第一に、その土地が農地農地以外
農地の場合、農地法の転用許可を得ないと農地以外にできません。
そして農地である限り、一般人は購入すらできません。



農業従事者は購入できる可能性がありますが、
東松山の場合、耕作放棄地が山ほどあります。
タダで借りられる場所ばかりなので、購入してくれる農家や農業法人は稀です。
手放せない可能性が高いといえます。


※直前まで耕作していて土壌豊かな耕作適地なら、引き取り手がいるかもしれません



住宅を建てられる農地は、状況にもよっては宅地並の価値があります。
市街地に近く道路付けが良い農地は、場合によっては売却可能でしょう。


※上水道管が前面道路に通っていて側溝付きの公道に接する既存集落内の2種農地など




周囲の土地所有者と協力して1000坪以上の大規模土地になれば、
事業用地になる事例もあります。
大きくなれば調整事項が沢山生じます。
まず農地ですから、農地法の許可が得られないと所有権移転が不可能です。
これが一番難しい。
その他、法令制限・市役所や埼玉県の意向・近隣の住民の意向など、
沢山の調整が必要です。時間をかけて取り組む案件になります。





さて、山林・原野・雑種地などは、誰でも購入可能です。
買おうと思えば誰でも買えます。私でも買えます。




そうすると、あとは利用用途の問題になります。
一体何に使えるのか。大切なのは道路付けです



とにかく、その土地に出入りできないといけません。
道路がくっついていれば、資材置き場や駐車場用地になり得ます。
トレーラーハウス(※)でも置いて、運送業許可が取れるかもしれません。


※埼玉県の場合



土地に樹木が生い茂っていると、何の利用もできません。
山林なら、樹木を伐採・伐根する必要があります
これは百万単位で費用がかかります。


また、道路に対して土地が平らなのか、段差があるのか
高低差がある場合は、切土なり盛土なりして造成しないといけません。
時には高くなった地盤面にコンクリ土留めする必要も出てきます。
これは本当にお金がかかります。



たとえば100万円で、500坪の山林を買ったとします。
伐根伐採に300万円、造成して平らにして土留めをしたら1000万円。



駐車場にするには、ちょっと高い買い物ですね。
法人が事業用の資材置き場にするなら計画が成り立つかもしれません。



しかし、山林の売買価格は100万円
つまり売主の取り分は100万円です。



「手放せるなら何でもいい」と思ってくれないと成立しません。
土地の境目がわからないから、と確定測量させられようものなら
100万円かかって売主の取り分はゼロ。こんな話もたまに聞きます。



あるいは太い電線が近くを通っていること
つまり送電することが可能な土地なら、太陽光発電用地にもなります。



一昔前は太陽光で発電した電力を、電力会社が高単価で買い取ってくれました。
現在は買取水準が大幅に下落しましたので、
太陽光パネルを設置して事業が成り立つかどうか、難しくなってきています。



しかし数千坪~数万坪のまとまった山林なら、
メガソーラー用地として買い手が現れることがあります。
大規模発電なら発電効率が良いので、事業として成り立つのですね。



とはいえ太陽光を計画するのも一苦労です。


・山林は伐根伐採が必要

・南側に向かって傾斜しているか、周囲が空地で日当たりがとれないとダメ

・融資の関係だと思いますが、土地を測量させられること多い。
 とても費用がかかります(ほとんどは所有者負担)

・メガソーラーは電力会社と事前協議が必要(アクセス協議)。
 土地が決まってから数か月かかる。気の長い話になります

・その他、法令制限に引っかかることもあり少しトラブルが多い印象です




少し前の話ですが、不要な山林の売却を持ちかけて
測量費・コンサル費を持ち逃げする詐欺師が頻発しました。


山林の所有者は高齢者が多く、
何も利用できない、"負"動産を子供に相続させることが心配です


そんなところに売却話が持ち上がって、
子供のためにと思って先にお金を振り込んでしまう。


要するに振り込め詐欺です。


こんなあからさまな手口には引っかからないかもしれません。



電力の買取価格が低くなった現在
事業者自身が地上げを行って山林を仕入れ、
自ら太陽光を設置して転売ソーラー物件を仕込んだりします。


この事業者は不動産業者ではありません。
多くは中小企業の電気設備会社です。



良心的な契約ならいいのですが、あいまいな契約や
極端に買主有利な契約を結ばせて、
後から思わぬトラブルになることもあります。




売電買取制度(FIT)が始まった頃は景気がよく、
太陽光用地の山林が1坪1万円前後で取引されていました。
太陽光業者の活動も活発で、
よく不動産会社にも営業電話があったのです。



「太陽光発電ができる山林や農地はありませんか?」


というやつです。



固定買取単価が当時から3分の1になってしまった現在では、
そういった太陽光業者は、ほぼ絶滅しました。



つまり、残念ながら山林の価値も低下した、ということです




さて、長々と事情を説明しました。
ざっとした土地の売却単価は以下のようになります。


・資材置き場用地  坪2~3万円 
          ※それなりに広い道路に接する土地のみ
・太陽光発電用地  坪5千~1万円
          ※伐根伐採・造成に費用がかかる場合は売れない
家庭菜園用地   郊外の建築できない原野などは売れない
          市街地に近い土地だと総額50万円~100万円くらい

※ただし全てにおいて農地は除く


土地の個別状況によって全く変わってしまいますが、
ひとまずのイメージはこんな感じ。
東松山水準で考えていますが、
埼玉北部・群馬・栃木・茨城など郊外都市は似たようなイメージです。




こんな相場はありますが、あくまでも参考。
ほとんどの山林は買い手がありません。
繰り返しますが、日本の国土の67%は山林です。
いくらでも余っています。

市街化調整区域の建築不可な土地は、基本的に売れません。
そもそも手放せないかもしれない、
というイメージを持っていただくのが現実に適合していると思います。




バブルを経験している世代は、土地が高騰した記憶が残っています。


「いつか何か美味しい話が来るかもしれないからね」


と話が終わることが多いのですが、
そういう土地を相続して困るのは子世代です。



昔と違い、あくまで人口減少社会・土地余り社会です
年月が経てばたつほど、郊外の土地は需要が無くなります。
今「もしかすると手放せるかも」という土地は、
10年後は「もうどうしようもない土地」になるかもしれません。




特に調整区域の土地。


「いずれまた法律が変わって建てられるようになるかもしれないからね」


と仰る方がいました。
まず無理だと思います




このあたり、親子間あるいは夫婦間で認識のギャップがあります。
夫婦で言えば旦那様、親子で言えば親世代の方が
土地に対する期待値が高いです。

※当たり前かもしれませんが





経験上、不活用土地は相続発生後すぐに売却されています
仕方ないのです。使わないし、管理もできないのですから。




特に市街地近郊の不要土地。ただの空き地ですね。
放っておくと、旦那様の体の自由が利かなくなってから相当の期間、
奥様とお子様が草刈りで苦労します。


でも旦那様の意向で手放せない。外部委託すれば金もかかる。
旦那様が認知症になれば簡単に手放すこともできなくなる。


良いことが無いのです。
子世代が「手放しちゃいなよ」と言っていれば、
それは手放していいと思います。

思っている以上に、それは本気の発言です。






もちろん不動産はそれぞれ違います。
市街化調整区域の土地は厄介ですから、毎回調べてみないとわかりません。
疑問が生じた際は一度聞いてください。


いろいろ言いましたが、
思うより価値ある土地だったということも、たまにあるのです。



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